大森明恍の富士山—水墨画_1

水墨画_1

大森明恍(本名: 大森桃太郎)は, 伝統的な手法である水墨画でも数多くの富士山を描きました。いずれの富士山も, 墨のにじみを利用した雲の写実的な表現に特徴があるようです.


K#274
Meiko_Ohmori_274c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 10.5 x 38 cm.
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白い雲の上に, 雪に覆われた白い頂上を見せています. 前景には濃い墨, 遠方には薄い墨が使われており, 墨の濃さで遠近感が表現されています. 横長の画面の周囲に手書きの額が描かれていますが, 同様の装飾は, K#17(昭和11年)やK#109, K#132(昭和12年)にも見られます. 画には制作年が記載されていませんが, 同時期(昭和11-12年)に描かれたものかもしれません.

K#306
Meiko_Ohmori_306c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 38 x 31 cm.
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雲の合間に富士山の白い頂上がのぞいています. 右下に(桃)の落款があります.

K#307
Meiko_Ohmori_307c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 30 x 55 cm.
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富士山の中腹, 宝永山のあたりだけが雲に覆われています. 右下に(桃)の落款があります. 右上が一部破損しています.

K#308
Meiko_Ohmori_308c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper, 1937.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 23 x 31 cm, 昭和12年.
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画用紙に墨で描かれています. 夏山の富士が濃い墨でくっきりと描かれ, 一方雲の幾重にも重なり合った様子が, 淡い墨で表現されています. 右下に「MomoTaRo 1937」とあります. 戦前(昭和12年)の作品であることがわかります.

K#309
Meiko_Ohmori_309c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper, Dec. 1938.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 17 x 24 cm, 昭和13年12月.
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斜面左下宝永山の火口近辺の輪郭線が, 細いペンでくっきりと描かれており, 冬山の荒々しさが伝わってきます. 大森明恍は水墨画で富士山を描くときにも, 写実性を重んじていたようです. 右下に「38. Dec MomoTaRo」とあります.

K#311
Meiko_Ohmori_311c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 17 x 17 cm.
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手前の雲は着色されているようです. 右下に[明]の落款があります.

K#313
Meiko_Ohmori_313c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 8 x 28.6 cm.
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右側斜面の突起が宝永山とすると, 南西方面からみた富士山のようです. 右下に(桃)の落款があります.


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