富士山画家 大森明恍の作品と生涯

はじめに

大森明恍(本名: 大森桃太郎)は、生涯、富士山の絵を描きつづけた画家です。

Meiko_Ohmori_32_c
Meiko Ohmori (1901-1963)
大森 明恍(明治34年-昭和38年)

大森明恍は、1901年(明治34年)10月18日、福岡県遠賀郡芦屋町に生れました。1919年(大正8年)、18才のときに絵描きになることを志し、東京に出て、岡田三郎助が指導する本郷洋画研究所に入門しました。上京の途中、東海道線の列車の車窓から、生まれて初めて富士山を見て、深く感動したといいます。もともと才能もあったのでしょう、ほどなく1921年(大正10年)、20才の若さで、第8回二科会展覧会に「浪懸夏光」という作品が入選しました。

1933年(昭和8年)、32才のとき、富士山の絵に専念したいと考え、日出子夫人子供たちをつれて、東京を離れ、富士山麓に移住しました。

1938年(昭和13年)2月、37才のとき、東京銀座資生堂ギャラリーにおいて、第1回富士山画個展を開催しました。これを皮切りに、戦前、戦中、戦後に渡る昭和の激動の時代に、銀座や日本橋はもちろん、北海道や九州等各地でも多くの個展を開催し、富士山の絵を発表し続けました。

1963年(昭和38年)1月5日、御殿場市の東山にて永眠しました。享年61才でした。

なお、芸術新潮(昭和28年7月, 4巻7号)に富士を描いて30年と題して、富士山を画くに至った経緯や、富士山にかける意気込みをつづった文章を発表しています。その中で、絵筆を持って、じっと富士を見つめていると、思わずキャンバスの上に絵筆が走る。いつ見ても、どこから見ても美しい。そういう他ないのです。それでいて、まだ一枚も富士の美を描けていないということは、なんという不幸、私は死ぬときに富士山に向かって申訳ありませんと言って死ぬ男です。と、心境を述べています。

このブログ「大森明恍の作品と生涯」では、大森明恍が残したたくさんの絵や、波乱に富んだ生涯について紹介していきたいと思います。

Meiko_Ohmori_139c

K#139
Morning View of Mt. Fuji from Yoshiwara in Late Autumn,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, Nov. 1962,
東海道吉原晩秋朝富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 71.5 x 38 cm, 昭和37年11月. 個人蔵
——
キャンバスの裏に「東海道吉原晩秋朝富士大森明恍 昭和三十七年十一月」と自筆の記載がありました.
吉原は東海道五十三次の宿場名で, 現在の静岡県富士市にあたります.
大森明恍は, この絵が完成して二か月後, 昭和38年1月に亡くなりました. そのため, これが最後の富士山画の大作となりました. 横長のキャンバスに堂々と描かれた富士山の姿は, 生涯をかけて, ひたすら富士山を描き続けた, 大森明恍本人の姿に重なるかのようです.

このページのトップに戻る

お知らせ

裾野市富士山資料館特別展が開催中です

裾野市立富士山資料館入口. 天気が良い日には建物の後方に富士山の頂上が見えます.

裾野市富士山資料館の特別展「富士山と万葉集を中心とした文学」では、大森明恍の富士山画5点が展示されています。ポスターにも使っていただきました。

令和元年度 富士山資料館特別展
富士山と万葉集を中心とした文学
初日に限り!!
7月13日(土)
(1) 10:30-11:00
(2) 14:00-14:30
特別展示解説いたします。
田子の浦ゆ
うち出てみれば真白にぞ
不尽の高嶺に雪は降りける
山部赤人
絵:大森明恍「田子の浦
令和元年7月13日(土)-令和元年12月1日(日)
入館料/おとな210円 小・中学生100円(20人以上団体割引あり)
開館時間/9時-16時30分
休館日/月曜日(祝日の場合は開館)、祝日の翌日(土・日の場合は開館)
裾野市立富士山資料館
裾野市須山2255-39
http://www.city.susono.shizuoka.jp
Tel・Fax 055-988-1325
大森明恍
Meikou Oomori
明治34(1901)年、福岡県生まれ。大正8(1919)年、18歳のとき洋画研究所に入所。大正10(1921)年、二科会美術展に入選、大正12(1923)年日本美術展覧会に入選します。昭和8(1933)念、富士山研究の目的達成のため、静岡県御殿場市に移住し、富士山画研究に専念します。昭和13(1938)年・14(1939)年、富士山画個展を開催しています。昭和15(1940)年、皇太后さまに日本が絵巻物「愛鷹紀勝 新緑編・夏秋編 」の2巻を大正天皇御遺跡資料として台覧を賜っています。
展示作品「朝焼け富士
展示作品「田子の浦
展示作品「新雪秋富士
展示作品「黒夏富士
展示作品「富士
富士山「語り継ぎいい継ぎ行かむ 不尽の高嶺は」山部赤人

<<先頭(トップページ)に戻る

油彩画_1に続く>>

大森明恍の富士山—油彩画_1

富士山の油彩画_1

大森明恍は、富士山に魅せられ、生涯に渡り、富士山の絵を描き続けました。季節により、また時間帯により、刻一刻その姿を変える富士山の豊かな光の表情が、油彩により、みごとにとらえられています。

Meiko_Ohmori_43_c.jpg
K#043
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas,
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 板張りキャンバスに油彩, 33.3 x 24.2 cm (F4)
富士山こどもの国蔵

Meiko_Ohmori_072_c
K#072
Mt. Fuji from Kofu City,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, from Autumn 1958 to 1962,
裏富士 甲府市にて,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 41.0 x 27.3 cm (P6), 昭和33年秋より昭和37年完.
富士山こどもの国蔵
-----—
キャンバス裏に自筆で「裏富士 甲府市にて 一九五八年秋 大森明恍 一九六二年完」と記されています.

Meiko_Ohmori_066_c
K#066
Evening View of Mt. Fuji from Lake Kawaguchi,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, Jun. 1955,
河口湖畔夕映の富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 27.3 x 22.0 cm (F3), 昭和30年6月.
富士山こどもの国蔵
---------------------
キャンバスの裏に自筆で「河口湖畔 夕映の富士 大森明恍 画 一九五五. 六月」と記されています.

Meiko_Ohmori_021_c
K#021
Evening View of Mt. Fuji on Lake Kawaguchi, Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, July 1955.
河口湖夕映富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 45.5 x 33.3 cm(P8), 昭和30年7月.
-------------------------–
キャンバス裏に自筆で「河口湖上夕映富士 一九五五. 七月 大森明恍画」と記されています.

Meiko_Ohmori_62_c.jpg
K#062
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas,
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 45.5 x 33.3 cm (P8)
富士山こどもの国蔵
----------
キャンバス裏にはチョークで「36? 富士」と書かれています.

Meiko_Ohmori_138c
K#138
Mt. Fuji at Dawn of Early Autumn,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, Sept. 1962,
明けゆく初秋の富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 53.0 x 33.3 cm (M10), 昭和37年9月完.
個人蔵
------
キャンバスの裏には「明けゆく初秋の富士 1960年9月始め 大森明恍画 1961年夏加筆 1962年9月完」と記されています.

Evening_view
O#001
Evening View of Mt. Fuji
Meiko Ohmori, Oil on canvas,
富士夕景
大森明恍, キャンバスに油彩, 27.3 x 41.0 cm (P6)
富士山こどもの国蔵

Ohmori_Meiko_O13c
O#013
Mt. Fuji with New Snow in Autumn,
Meiko Ohmori (1901-1963), Oil on canvas, September 1962.
新雪秋富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 昭和37年9月.
裾野市立富士山資料館蔵
--------------------–
左下に「M. Ohmori 1962」, キャンバスの裏に「一九六二年九月 新雪秋富士 大森明恍画」と書いてありました. 亡くなる前年秋の作品です.

Meiko_Ohmori_40_c.jpg
K#040
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, 1954-1956
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 板張りキャンバスに油彩, 33.3 x 24.2 cm (F4), 昭和29年-31年.
富士山こどもの国蔵
-------------------------
板の裏に自筆で「一九五四 一九五六作 大森明恍画」と記されています.

Meiko_Ohmori_59_c.jpg
K#059
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas,
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 26 x 11 cm.
個人蔵

このページのトップに戻る

大森明恍の富士山—油彩画_2

富士山の油彩画_2

大森明恍は、富士山の絵を描くため、昭和8年、家族ぐるみで富士山麓(現在の御殿場市内)に移り住みました。富士山の麓からみえる、四季おりおりの富士山の様々な姿を描き続けました。屋外に出かけて描くことが多かったためか、持ち運びに便利な、板張りのキャンバスを使用することが多かったようです。

School
O#010
Mt. Fuji from Morokubo
Meiko Ohmori (1901-1963), Oil on canvas,
諸久保からの富士
大森明恍 (明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 65.2 x 45.5 cm (M15)
御殿場市蔵
———————
静岡県富士岡村諸久保は, 大森明恍が昭和8年(1933年)から, 昭和18年(1943年)まで住んだ場所の地名(現在の御殿場市内)です. JR御殿場駅から南に約2kmほどの距離にあり, 背後の丘に登ると, さえぎるものなく, 富士山が良く見えたそうです. この絵について, 長男の大森如一さんの大森明恍の思い出 に詳しい説明があります。
Meiko_Ohmori_030_c
K#030
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas/board,
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 板張りキャンバスに油彩, 31 x 41 cm.
富士山こどもの国蔵
Meiko_Ohmori_52_c.jpg
K#052
Mt. Fuji in Early Autumn,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, 1959-1961.
初秋の富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 52 x 67 cm (P15?), 昭和34年-36年.
富士山こどもの国蔵
Meiko_Ohmori_022_c
K#022
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Early spring to late autumn of Nov. 1959.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 45.5 x 33.3 cm(P8), 昭和34年早春から晩秋11月.
富士山こどもの国蔵
Meiko_Ohmori_078_c
K#078
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, 1953 to 1954, finished May 1955.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 80.3 x 65.2 cm (F25), 昭和28年から29年作、昭和30年5月完.
裾野市立富士山資料館蔵
Meiko_Ohmori_007c
K#007
Mt. Fuji in Early Summer,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas/board, July 1949.
初夏の御山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 板張りキャンバスに油彩, 45 x 37.5 cm(F8), 昭和24年7月.
富士山こどもの国蔵
———————
裏面(板)には, 「初夏の御山 昭和17年6月末始む 大森桃太郎畫 昭和23年夏 昭和24年7月に画きつづく」と本人による説明書きがあります.
Meiko_Ohmori_011c
K#011
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, April 1955.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 45.5 x 38.0 cm(F8), 1955年4月完.
富士山こどもの国蔵
———
キャンバスの裏に, 「1953 大森明恍 1955 4月 完筆」との説明があります.

このページのトップに戻る

大森明恍の富士山—油彩画_3

油彩画_3

大森明恍は、富士山を描くにあたっては、雲や空気をとらえることが大切だ考えました. そこで, たまたま近くにあった「阿部雲気流研究所」に, 「雲の伯爵」と呼ばれた阿部正直伯爵を訪ね, 富士山にかかる雲の形や動きに関する, 科学的な観察方法を学びました. このため, 大森明恍の富士山には, 長期間にわたり深く観察し続けたものにしか描くことができない, 雲の形や空気感までもが表情豊かに表現されています.


Meiko_Ohmori_071_c
K#071
Morning View of Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, Summer in 1960,
朝やけ富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 41.0 x 27.3 (P6), 昭和35年夏.
裾野市立富士山資料館蔵

Meiko_Ohmori_075_c
K#075
Mt. Fuji from Sea,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas,
海よりの富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 44 x 20 cm.

Meiko_Ohmori_020_c
K#020
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 53.0 x 41.0 cm(P10).
富士山こどもの国蔵

Meiko_Ohmori_085_c
K#085
Mt. Fuji in Early Spring Afternoon,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, Jan. to Mar. 1960,
早春午後の富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 42 x 44 cm, 昭和35年1月2月、3月22日完.
富士山こどもの国蔵

Meiko_Ohmori_080_c
K#080
Mt. Fuji of Sunset Glow in Summer,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas/board, Feb. 1958 to Feb. 1962,
夏富士夕映え,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 板張りキャンバスに油彩, 33.3 x 24.2 cm (F4), 昭和33年5月から昭和37年5月完.
富士山こどもの国蔵

Meiko_Ohmori_018_c
K#018
Mt. Fuji from My Home in Summer (Unfinished),
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas.
我家からの夏富士(未完),
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 45.5 x 38.0 cm(F8).

Meiko_Ohmori_H755c
H#755
Mt. Fuji from Higashiyama,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas,
東山よりの富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 100 x 80.3 cm (F40).
東山コミュニティーセンター蔵
------------------------------—
御殿場市の東山コミュニティーセンターに常時展示されています. 大森明恍が住んでいた東山の自宅のすぐ近くではありますが, 展示されるようになったいきさつについては不明です.

South_alps
O#002
Deep Fall of South Alps
Meiko Ohmori, Oil on canvas,
晩秋の南アルプス
大森明恍, キャンバスに油彩, 24.2 x 41.0 cm (M6)
---------------------
遠景には小さく富士山が見えています

Meiko_Ohmori_005c
K#005
At a Crater Wall of Hoeizan on Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas/board, July 1938.
富士山 宝永の一角にて,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 板張りキャンバスに油彩, 33.3 x 24.2 cm(F4), 昭和13年7月.
富士山こどもの国蔵
---------------------
裏面(板)には, 「大森桃太郎画 寶永山火口壁の一角」と本人による説明書きがありました.


このページの先頭に戻る

大森明恍の富士山—水彩画_1

水彩画_1

大森明恍(本名: 大森桃太郎)は、水彩画でも数多くの富士山を描きました。輪郭をはっきりと描いたもの、色のみで描いたもの、あるいは絵の具のぼかしを利用したものなど、多彩な手法を用いて、富士山が表情豊かに描かれています。


Meiko_Ohmori_33_c
K#033
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper,
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 39 x 27 cm
裾野市立富士山資料館蔵
————
右下に桃太郎のサインと(桃)の落款があります.
Meiko_Ohmori_38_c 
K#038
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper,
富士山
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 26 x 24 cm.
富士山こどもの国蔵
—–
雲の表現には水墨画のにじみの技法を使っているようです.
Meiko_Ohmori_133c 
K#133
Mt. Fuji from back-hill of Morokubo,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper, April 1939.
諸久保裏山よりの富士、
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 47.0 x 30.8 cm, 昭和14年4月.
御殿場市蔵
——-
左下に「M. Ohmori 4/39」. 裏に「93. 1939.4 諸久保 裏山よりの富士」.
昭和14年当時は, 富士岡村の諸久保(現在の御殿場市内)に住んでいました.
 
Meiko_Ohmori_137c 
K#137
Mt. Fuji from Ryuge-ji Temple,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper,
龍華寺 樗牛墓前、
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 38 x 28 cm.
富士山こどもの国蔵
——-
龍華寺(りゅうげじ)は静岡市清水区にある日蓮宗の寺院. 高山樗牛の墓があることで知られています. 高山樗牛は, 明治時代の文芸評論家. 手前に見える屋根は, 寺の本堂. 遠方は清水港.
 
Meiko_Ohmori_60_c 
K#60
Mt. Fuji from Tesshu-ji Temple,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper,
鉄舟寺山上、
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 47 x 30 cm
——-
鉄舟寺(てっしゅうじ)は、静岡県静岡市清水区にある臨済宗の寺。K#137の龍華寺とは、直線距離にして300m程度。元は久能寺といい、推古天皇の時代から長い歴史があると伝えられている。幕末から明治時代初期には荒れていたが、山岡鉄舟(1836-1888年)が再興した。鉄舟寺の山上にある観音堂からは清水港越しに富士山を望むことができる。また鉄舟には「晴れてよし、曇りてもよし、富士の山、もとの姿は変わらざりけり」の短歌がある。
 
Meiko_Ohmori_114_c 
K#114
Mt. Fuji from Tesshu-ji Temple,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper,
鉄舟寺山上、
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩.
富士山こどもの国蔵
——-
K#060とほぼ同じ構図です.
 
Meiko_Ohmori_024_c 
K#024
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper, 1945.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 33 x 32 cm, 昭和20年.
富士山こどもの国蔵
—————————
左下に「昭和二十年度 M. Ohmori」のサインと(桃)の落款があります.
 
Meiko_Ohmori_029_c 
K#029
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper, Aug. 30, 1942.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 41 x 28 cm, 皇紀2602年(昭和17年, 西暦1942年)8月30日.
—————————-
左下に「二六〇二年八月三十日」. このころ年号として, 皇紀を用いていたことがわかります.
 
Meiko_Ohmori_105_c
K#105
Tagonoura,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper.
田子浦,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 34 x 27 cm.
裾野市立富士山資料館蔵
———————
右下に「田子浦 桃」とあります. K#317と同じ構図です.
右肩に見えるのは宝永山と噴火口のようです. 田子の浦は静岡県富士市.
 
Meiko_Ohmori_317c
K#317
Mt Fuji from Tagonoura,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
田子浦,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 21 x 30 cm.
富士山こどもの国蔵
——
右下に「田子浦 桃」とあります. K#105と同じ構図です.
 
Meiko_Ohmori_002c 
K#002
Mt. Fuji and Rainbow,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper.
富士山と虹,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 28 x 18
 
Meiko_Ohmori_010c 
K#010
Mt. Fuji with Snow from Soshu,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper, 1932.
相州で雪積の富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 26.5 x 19 cm, 昭和7年11月10日.
————————
右下に「相州で雪積の富士」(桃)のサイン, 左下に「七年十一月十日」とあります.
御殿場に移住したのは昭和8年なので, この絵を描いた昭和7年当時は, まだ東京に住んでいたことになります. 「富士を描いて三十年」には, 「御殿場に移住する前から, よく富士山を描いていた」と書かれていますが, それを裏付ける一枚です.
 
Meiko_Ohmori_009c 
K#009
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 22.5 x 30 cm.
————————
右下に「桃」のサインがあります. K#357と似た作風です.
 
Meiko_Ohmori_357c 
K#357
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 19 x 28 cm.
————————
右下に「桃」のサインがあります. K#09と似た作風です.

 


このページの先頭に戻る

 

大森明恍の富士山—水彩画_2

水彩画-2

大森明恍は水彩画でも数多くの富士山を描きました。油彩を思わせるような重厚な筆づかいで描かれたものがあるかと思えば、墨やペン、鉛筆で輪郭を素早く描いた上に淡い色をのせたものなどもあり、多彩な技法を用いて、そのときどきに移りゆく、富士山の姿と雲の表情に合わせて描かれていたようです。


Meiko_Ohmori_147c
Y#147
Mt. Fuji from Tokai,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper, 1959.
東海よりの富士、
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 51 x 34 cm, 昭和34年.
個人蔵
-----—
右下に「M. Ohmori 1959」, 裏に「11. 1959. 東海よりの富士」とあります.

Meiko_Ohmori_103c
K#103
Mt. Fuji from Heda-Port of West Izu,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper, March 16, 1960.
西伊豆戸田港よりの富士、
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 47 x 23 cm, 昭和35年3月16日.
-----–
画面左下に, 「M. Ohmori 1960-3-16」とサインがあり, また紙の裏右下には「西伊豆戸田港」との記載あります. 戸田港は, 静岡県沼津市戸田(へだ)にある駿河湾に臨む港です. 天然の良港で漁業が盛んです. 戸田港からは「砂嘴(さし)」でできた御浜岬越しに富士山が見えます.

Meiko_Ohmori_142c
K#142
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper.
富士山、
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 38 x 28 cm.
個人蔵
-----—
右下に「桃」とサインがあります.

Meiko_Ohmori_146c
K#146
Mt. Fuji in Summer,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper.
夏富士、
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 33 x 24.5 cm.
個人蔵
-----—
右下に(桃)の落款があります.

Meiko_Ohmori_148c
Y#148
Mt. Fuji from Tokai,
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper, 1955.
東海よりの富士、
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 18.3 x 13.3 cm, 昭和30年.
個人蔵
-----—
右下に「1955」とあります.

Meiko_Ohmori_271c
K#271
Mt Fuji with star in Gotemba,
Meiko Ohmori (1901-1963), Pen and watercolor on paper.
星一座御殿場富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙にペンと水彩, 23.6 x 31.7 cm.
------
右下に「星一座御殿場富士 十一月十日 桃」とあります. 家の屋根越しに夜の富士山が描かれています. 五反田駅の近く, 四反田に住んでいたころの作品かもしれません.

Meiko_Ohmori_283c
K#283
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 15.6 x 21.5 cm.
富士山こどもの国蔵
------
右下に「海門」とあります. 海門を名乗ったのは昭和初期(昭和10年前後)のころと思われます.


このページの先頭に戻る.

大森明恍の富士山—版画

大森明恍は、晩年、版画(リトグラフ)による富士山の作品も制作しました。晩年まで制作意欲が衰えることはありませんでした。

Meiko_Ohmori_097_c
K#16, K#97
Mt. Fuji in Mid-Winter from Pond
Meiko Ohmori (1901-1963), lithograph on paper.
池よりの厳冬富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙にリトグラフ, 47 cm x 34 cm.
Meiko_Ohmori_014_c
K#13, K#14, K#15
Mt. Fuji in Mid-Winter with Clear Sky,
Meiko Ohmori (1901-1963), lithograph on paper, 1962.
晴れた日の厳冬富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙にリトグラフ, 56 cm x 39 cm, 昭和37年.
東山ロッヂ
Meiko_Ohmori_158c
K#158
Colorless Mt. Fuji in winter,
Meiko Ohmori (1901-1963), lithograph on paper.
冬無色富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に版画, 35 x 45.5 cm .
——
右下に「M. OhmoRi」, 裏の下には鉛筆で「リト14. 3 冬無色富士 サイン有 F れい子方 小品」とありました. K#13, K#14, K#15と同じ構図ですが, 版は異なるようです.
Meiko_Ohmori_120_c
K#120
Black Fuji in Summer,
Meiko Ohmori (1901-1963), lithograph on paper.
黒夏富士
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙にリトグラフ, 45.2 cm x 34.5 cm.
裾野市富士山資料館蔵
———–
裏面には「リト13 制作年不明 黒夏富士(紅セピア富士と同構図)」とありました.
また, 額の段ボールには, 「墨のリト富士」とありました.
Meiko_Ohmori_161c
K#161
Mt. Fuji (Red),
Meiko Ohmori (1901-1963), lithograph on paper,
富士山(紅),
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に版画, 34.8 x 45.5 cm, 制作年不詳.
富士山こどもの国蔵
——
裏面には「紅富士」とありました. K#120 黒夏富士と同じ版の色違いのようです.
Meiko_Ohmori_373c
Meiko_Ohmori_160c
K#373(サイン入り), K#160(サインなし)
Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), lithograph on paper,
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に版画, 40 x 55.5 cm, 制作年不詳.
富士山こどもの国蔵(K#373)
Meiko_Ohmori_172c
K#172
Mt. Fuji (Black),
Meiko Ohmori (1901-1963), lithograph on paper.
黒富士,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に版画, 39.8 x 54 cm, 制作年不詳.
富士山こどもの国蔵
——
画面の右下に「M. OhmroRi」自筆のサインがあります.

大森明恍の富士山—水墨画_1

水墨画_1

大森明恍(本名: 大森桃太郎)は, 伝統的な手法である水墨画でも数多くの富士山を描きました。いずれの富士山も, 墨のにじみを利用した雲の写実的な表現に特徴があるようです.


K#274
Meiko_Ohmori_274c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 10.5 x 38 cm.
------
白い雲の上に, 雪に覆われた白い頂上を見せています. 前景には濃い墨, 遠方には薄い墨が使われており, 墨の濃さで遠近感が表現されています. 横長の画面の周囲に手書きの額が描かれていますが, 同様の装飾は, K#17(昭和11年)やK#109, K#132(昭和12年)にも見られます. 画には制作年が記載されていませんが, 同時期(昭和11-12年)に描かれたものかもしれません.

K#306
Meiko_Ohmori_306c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 38 x 31 cm.
------
雲の合間に富士山の白い頂上がのぞいています. 右下に(桃)の落款があります.

K#307
Meiko_Ohmori_307c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 30 x 55 cm.
------
富士山の中腹, 宝永山のあたりだけが雲に覆われています. 右下に(桃)の落款があります. 右上が一部破損しています.

K#308
Meiko_Ohmori_308c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper, 1937.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 23 x 31 cm, 昭和12年.
------
画用紙に墨で描かれています. 夏山の富士が濃い墨でくっきりと描かれ, 一方雲の幾重にも重なり合った様子が, 淡い墨で表現されています. 右下に「MomoTaRo 1937」とあります. 戦前(昭和12年)の作品であることがわかります.

K#309
Meiko_Ohmori_309c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper, Dec. 1938.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 17 x 24 cm, 昭和13年12月.
------
斜面左下宝永山の火口近辺の輪郭線が, 細いペンでくっきりと描かれており, 冬山の荒々しさが伝わってきます. 大森明恍は水墨画で富士山を描くときにも, 写実性を重んじていたようです. 右下に「38. Dec MomoTaRo」とあります.

K#311
Meiko_Ohmori_311c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 17 x 17 cm.
------
手前の雲は着色されているようです. 右下に[明]の落款があります.

K#313
Meiko_Ohmori_313c
Mt Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper.
富士山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に墨, 8 x 28.6 cm.
------
右側斜面の突起が宝永山とすると, 南西方面からみた富士山のようです. 右下に(桃)の落款があります.


このページの先頭に戻る

大森明恍の富士山麓風景_1

山麓風景

大森明恍は、富士山麓の諸久保、四反田、東山(いずれも現在の御殿場市内)を転居しました。そして、家の周りの富士山麓から見える風景画も多く残しました。


Meiko_Ohmori_64c
K#64,
Eastern Foot of Mt. Fuji,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, 1958-1962.
富士岳麓東山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 96 x 45 cm, 昭和33年-37年
御殿場市蔵
————————————–
キャンバス裏に「富士岳麓東山 自1958年 至1962年 大森明恍画」とあります. 大森明恍は昭和26年(1951)から, 亡くなる昭和38年(1963)まで, 東山に住んでいました.
Meiko_Ohmori_47c
K#47,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on board,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 板張りキャンバスに油彩, 53 x 45.5 cm (F10)
——————————————
K#64とほぼ同じ構図の作品です.
Meiko_Ohmori_082c
K#82
Early Autumn,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas, Aug. to Sept. 1959.
秋になった,
大森明恍(明治34年-昭和38年), キャンバスに油彩, 45.5 x 33.3 cm (P8), 昭和34年9月10月.
————————
キャンバス裏に自筆で「『秋になった』大森明恍画 一九五九年八月九月作」と書いてあります.
K#64K#47とほぼ同じ構図の作品です.
Meiko_Ohmori_53c
K#53
Meiko Ohmori (1901-1963), watercolor on paper, 1954
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 60 x 46 cm, 昭和29年4月12日
—————————–
左下に「MomoTaRo 29.4.12」. 昭和29年(1954)当時は東山に住んでいました. 山の形がK#64K#47, K#82と似ています.
Meiko_Ohmori_108c
K#108
Mt. Kintoki from Higashiyama,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas/board,
金時山の見える東山風景,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 板張りキャンバスに油彩, 45.5 x 27.3 cm (M8).
——————————-
板の裏にチョークで「517 金時山の見える東山風景 スミ(保)B M8」とあります.
金時山は箱根の外輪山の一つで標高は1212mです.
Meiko_Ohmori_433b
K#433
Mt. Kintoki from Higashiyama,
Meiko Ohmori (1901-1963), Watercolor on paper, Sep. 19.
東山より金時山,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 紙に水彩, 38.5 x 27 cm, 9月19日.
——
右下に「MomotaRo, Sep. 19th」とあります. 紙の裏には鉛筆で「(131)東山より金時山を」と書いてありました. #K108(油彩画)とほぼ同じ位置から描いたようです.
Otome_pass
O#06
Spring of Otome Pass
Meiko Ohmori, Oil on canvas,
春の乙女峠
大森明恍, キャンバスに油彩, 35.0 x 27.0 cm (F5)
————————–
乙女峠は, 御殿場と箱根の間にある箱根外輪山を越える峠です.
Meiko_Ohmori_026c
K#26
Early Autumn,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas/board, 1953.
初秋,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 板張りキャンバスに油彩, 43.0 x 32 cm, 昭和28年.
——————-
板の裏にチョークで「54 初秋 スミ(保存)A P8」とあります.
Meiko_Ohmori_153c
Y#153
Small Stream,
Meiko Ohmori (1901-1963), oil on canvas/board, 1939,
せせらぎする風景,
大森明恍(明治34年-昭和38年), 板キャンバスに油彩, 50.0 x 60.6 cm (F12), 昭和14年.
——
右下に「M. Ohmori 1939」とサインがあります.
また, 裏板にはチョークで「46 せせらぎする風景 62×50」と書かれています.

このページの先頭に戻る